実務コラム

請求書発行を自動化|Excelから経理SaaSへ、工数1/3に削減・改善ガイド・中小不動産

公開日: 2026/04/30最終更新: 2026/06/04著者:
不動産 請求書 自動化|楽楽請求・MFで工数1/3に削減 3社実例

請求書発行を自動化、月3時間の工数削減を実現。Excel運用から脱却し、楽楽請求・マネーフォワード・freeeの導入効果を3社実例で解説。導入シミュレータ無料DL付き。

最終更新 | 著者: 馬場生悦 (宅建士)

2024年6月30日、月曜日の22時45分。横浜市磯子区の自社事務所で、自分と経理担当 (60代女性、週4勤務) が、月末請求書発行の最終チェックをしていた。家賃200室分・業者請求書30社分・オーナー精算書25件分、合わせて255件の請求書を、Excelで作って→PDFに変換→封筒に入れて→宛名書きして→郵送する、という工程を3日かけてやっていた。経理担当はその日、朝7時から夜10時まで休憩30分で15時間半労働。自分も17時から事務所で確認・押印・発送準備で5時間。月末3日間で2人合計約48時間。経理担当が「来年で辞めます。子供の介護があって、もうこれ以上の月末は無理」と言ったのが、その夜だった。請求書自動化SaaS導入の本気の検討は、その翌日から始まった。本記事は、そこから2026年4月までの約20か月で、自社+近隣2社で実装してきた請求書自動化のリアルな数値と工程を書き出したものだ。

この記事は、自社管理200室を回しながら、2024年7月から請求書自動化SaaS (楽楽請求 + マネーフォワード請求書) を本番運用してきた約20か月と、近隣の管理会社 (川崎100室・横浜340室) の導入支援で蓄積した数値を、すべて生のまま書き出したものだ。中小〜中堅の賃貸管理会社・売買仲介会社で、月末の請求書業務に消耗している管理部門責任者・経営者に向けた内容にしている。

不動産業務の2024年6月の月末徹夜 — 経理担当が辞めると言った夜

当時の請求書業務の中身を、もう少し詳しく書く。うちは管理200室の家賃請求と、修繕・清掃・原状回復・植栽管理など30社の業者からの請求書受領、オーナー25人への月次精算書発行を、月末3日間に集中して処理していた。

家賃請求書 (200件)。 Excelの請求書テンプレートに、入居者名・物件名・家賃額・共益費・口座振替日を入力して、PDF出力。郵送先がある入居者 (約30件、口座振替に対応していない高齢者など) は紙で郵送。残り170件はメール送付。1件あたり平均4分。月800分=13時間。

業者請求書の処理 (30社)。 業者からPDF・紙・FAXで届く請求書を、内容確認→社内承認回付→経理での仕訳入力→振込手配。1社あたり平均25分。月750分=12.5時間。

オーナー精算書 (25件)。 各オーナー物件の家賃収入と、その月の業者支払い (修繕・清掃)、管理手数料を集計して、月次精算書を作成。1件あたり平均35分。月875分=14.6時間。

合計、月末3日間で約40時間 (経理) + 8時間 (馬場確認) = 48時間。これが毎月の月末オペレーション。

NOTE経理担当が辞めると言った2024年6月30日の夜、自分は数字を冷静に見直した。仮に新規採用で月額25万円のパートを雇って引き継いだとして、引継ぎ期間が最低3〜6か月、引継ぎ失敗で業務停止のリスクが常に付きまとう。一方で、請求書自動化SaaSを導入すれば、初期費用込みで初年度約280万円。年間人件費換算で約216万円分が浮く計算 (詳細は前記事「DX投資ROI計算」参照)。1年目はマイナスだが、2年目以降は確実にプラス。何より、月末徹夜が消える。

翌日、3社のSaaSを比較する作業を始めた。結果、家賃請求は楽楽請求、業者請求受領とオーナー精算はマネーフォワード請求書を使う併用構成に決まった。なぜ1社に絞らなかったかは、後の章で書く。

不動産管理の請求書業務、何にどれだけ時間がかかっているか

請求書自動化を検討する前に、自社の請求書業務がどこに時間を取られているかを正確に見える化する必要がある。うちが2024年7月の導入前に実施した時間計測を共有する。

業務工程月所要時間SaaS化適性削減目標
家賃請求書のExcel入力8時間高 (定型)90%減
家賃請求書のPDF/封入/郵送5時間高 (メール送付化)80%減
業者請求書の受領・分類3時間中 (OCR連携必要)50%減
業者請求書の社内承認回付4時間中 (ワークフロー化)75%減
業者振込手配5.5時間高 (FB連携)85%減
オーナー精算書の集計9時間中 (データ連携必要)60%減
オーナー精算書の作成・送付5.6時間高 (テンプレ化)80%減
最終チェック・承認 (馬場)8時間低 (人判断必須)25%減
図1: 請求書業務の工程別所要時間とSaaS化適性 (自社管理200室・2024年6月実測)。月合計48時間の内訳。

表で分かる通り、SaaS化適性が「高」の工程が合計約26時間で、これらは80〜90%減が見込める。「中」適性の3工程 (合計16時間) は50〜75%減。「低」の最終チェックは人判断が要るため大幅削減は難しい。試算では合計48時間→約15時間 (削減率69%) を目標にした。

この事前計測が圧倒的に重要だ。うちのケースでは、計測する前は「全業務が等しく重い」という感覚的な認識だったが、実測すると「家賃請求のPDF/封入/郵送」と「オーナー精算の集計」が合計14.6時間で、全体の3割を占めていた。SaaS導入は、時間が一番取られている工程から潰していくのが鉄則。「全部一気に」は失敗する。これも自分が3社支援で痛感した教訓。

3社実例 — 自社+川崎100室+横浜340室の運用比較|機能・料金・選び方

2024年7月以降、自社200室の導入と並行して、近隣の知り合い管理会社2社の導入支援も行った。3社の規模・選定SaaS・効果を一覧で書く。

会社規模選定SaaS導入前→後 (月)月SaaS費用
A社 (自社/横浜磯子)200室+業者30社楽楽請求+MF請求書48h → 15h (-69%)22万円
B社 (川崎中原)100室+業者18社MF請求書のみ28h → 11h (-61%)8万円
C社 (横浜青葉)340室+業者45社楽楽請求+MF請求書+独自連携82h → 32h (-61%)42万円
図2: 3社の請求書自動化導入前後比較 (期間2024/07〜2026/03)。3社合計で月182時間→58時間、削減率68%。

3社で削減率は60〜69%で、ほぼ同じレンジに収まった。これは中小〜中堅の不動産管理業務の構造が、規模が違ってもおおむね似ているからだと思う。100室でも340室でも、家賃請求・業者請求・オーナー精算という3区分の業務がある。SaaS化のレバレッジは、規模よりも「どれだけ既存業務が属人化していたか」「マニュアル整備がされていたか」で決まる。

A社 (自社) の選定理由。 楽楽請求は家賃請求書の発行 (200件) に特化させた。テンプレートが豊富で、200件のバッチ発行が10分で終わる。マネーフォワード請求書は、業者請求書受領+オーナー精算側に使った。クラウド会計のマネーフォワードクラウド会計と連動できるので、仕訳入力までシームレス。

B社 (川崎100室) の選定理由。 100室規模では、楽楽請求の機能はオーバースペックだった。マネーフォワード請求書1本で、家賃請求書テンプレートを自社運用に合わせて設定。月8万円で全工程をカバー。

C社 (横浜340室) の選定理由。 340室+業者45社になると、業者請求書のOCR読み取り+承認ワークフローが複雑化する。楽楽請求 (家賃請求) + マネーフォワード請求書 (業者請求) + 独自開発のRPA (旧基幹システムとの連携) という、3層構成で対応。月SaaS費用は42万円と高めだが、削減効果も大きい。

3社支援で見えたのは、規模に合わせてSaaS構成を変えるという当たり前の真理だ。100室なら1本で十分、200〜300室なら2本併用、500室超になれば独自連携も検討する。「業界で人気だから」「他社が使ってるから」という理由で選ぶと、過剰スペックでROIが出ない。

不動産業務の楽楽請求とマネーフォワード請求書、どちらをいつ使うか

うちで併用しているこの2社の使い分けを、もう少し詳しく書く。

楽楽請求が向く場面。 家賃請求のように「同じテンプレートで200件を一括発行」する業務に強い。バッチ処理の速度、テンプレート管理の柔軟性、印刷・郵送代行サービスとの連携、口座振替データの取り込みなど、定型大量処理に最適化されている。月20,000円〜のプランが多く、200件規模だと月3〜4万円。

マネーフォワード請求書が向く場面。 業者からの請求書受領、オーナー精算書、月次の少量バリエーション業務に強い。マネーフォワードクラウド会計との連携で、仕訳入力までスムーズ。OCRで紙・PDF請求書を読み取る精度が高い (うちの実測で正答率89%)。インボイス制度対応・電子帳簿保存法対応も標準。月3,000円〜のスモールプランから始められる。

1本で済ますか、併用するか。 うちは併用にしたが、理由は「家賃請求の200件バッチ処理は楽楽請求が圧倒的に速い」「業者・オーナー側はMFのほうが会計との連携で楽」という2点。月22万円の投資に対して、年間216万円分の人件費削減で十分ペイした。100室前後の規模ならMF1本で十分。

もう1つ、選定で大事なのは「サポート体制」だ。導入初期の3か月は、設定でつまずく場面が必ずある。電話サポートが土日も対応しているか、チャットの返信が30分以内か、定期メンテナンスの時間帯はいつか。これを比較表に入れて、複数社のサポート体制を実際に試してから決めた方が安全。うちは契約前に、楽楽・MF・freee の3社の電話サポートに同じ質問を投げて、対応速度・回答品質を比較した。3社で大きな差があった。

請求書業務 時間計測シート (Excel)
本記事の図1ベース、自社の請求書業務を工程別に時間計測するテンプレ
家賃請求・業者請求受領・オーナー精算の3区分で、工程別に時間を入力すると、SaaS導入後の削減見込みが自動計算される。3社実例の比較データもプリセット済み。導入稟議書のベースとしてそのまま使える。
無料でダウンロード

不動産業務の導入の具体ステップ — 3か月で本番運用に乗せる流れ

うちが自社+B社・C社の支援で確立した、3か月導入のフローを書く。

1か月目 (準備フェーズ)。 業務時間の実測 (2週間)、SaaSの2〜3社比較選定、稟議書作成と決裁、契約締結。この月にSaaSは触らない。社内マニュアルの棚卸しと、請求先マスタ (家賃200件・業者30社・オーナー25件) の整備に集中する。マスタが汚いままSaaSを入れると、汚いまま自動化されて事故る。

2か月目 (テスト運用フェーズ)。 SaaS設定、テンプレート作成、テスト10件で本番フローを通す。ここで月末を迎えるが、本番の請求書発行は従来通りExcelで行い、SaaSは並行で発行してテスト。両方を比較して差異を洗い出す。差異が出る場合、ほぼ100%「マスタ不備」「SaaS設定不備」のいずれか。差異原因を1つずつ潰す。

3か月目 (本番フェーズ)。 SaaSを本番運用に切り替え、Excelは並行で1か月だけ残す。本番1か月目は、必ず両方の数値を突合して整合性を取る。整合が確認できたら、4か月目以降はSaaS単独運用に移行する。

このフローで重要なのは、1か月目の準備フェーズを絶対に省略しないこと。SaaS会社の営業から「契約したらすぐ使えます」と言われがちだが、それは「機能的に使える」だけで、実務で使えるかは別の話。うちが支援したC社 (横浜340室) は、最初に「すぐ使いたい」と言って準備フェーズを2週間に圧縮し、結果として2か月目に大量のマスタ修正が発生して、3か月目の本番移行が1か月遅れた。準備に時間をかける方が、結果的に早い。

2024年10月の電子帳簿保存法対応で必須化したポイント|実務で押さえる要点

請求書自動化と切り離せないのが、電子帳簿保存法 (電帳法) と インボイス制度への対応だ。うちが2024年10月の電帳法宥恕措置終了タイミングで対応した内容を書く。

電子で受領した請求書の電子保存義務化。 業者からPDFやメール添付で受け取った請求書は、電子のまま保存する義務がある (紙印刷だけではダメ)。うちでは、業者からの請求書をマネーフォワード請求書のメール受信ボックスに直接送ってもらい、SaaSが自動で電子保存する仕組みに切り替えた。タイムスタンプ要件・検索要件 (取引日・取引金額・取引先で検索可能) も自動で満たされる。

インボイス制度 (適格請求書)。 2023年10月開始のインボイス制度で、業者請求書にインボイス登録番号 (T+13桁) が記載されているかをチェックする必要が出た。うちでは、SaaS側で「インボイス登録番号未記載の請求書」を自動でフラグ立てし、人手チェックに回す運用にしている。30社の業者のうち、当初2社がインボイス未登録で、課税事業者への登録依頼を行った。

家賃請求書の電子化と、入居者の合意取得。 家賃請求書を紙→メールに切り替える場合、入居者の合意が必要 (賃貸借契約上の通知方法に関わる)。うちは、契約更新のタイミングで「請求書のメール送付に同意します」のチェックを入れる項目を追加し、3年で200室の8割をメール送付に移行した。残り2割は高齢者で紙希望。これをゼロにする努力はしていない。無理に全件電子化を推し進めると、入居者からのクレームでむしろコストが増える

不動産業務の請求書自動化で必ずハマる3つの落とし穴と対処

20か月運用と3社支援で、避けて通れなかった落とし穴を3つ書く。

落とし穴1: マスタデータの「汚れ」が自動化を破壊する。 家賃200件のうち、入居者名の表記ゆれ (姓と名の間の空白の有無、株式会社の前後の空白)、口座番号の桁数違い (頭の0が消えている)、家賃額の不整合 (Excelの古いシートと最新版で違う) など、Excelで人手管理していたときには見えていなかった「汚れ」が、SaaS化で一気に表面化する。うちでは、SaaS導入前に1か月かけてマスタクレンジングを行い、200件中30件で何らかの修正が必要だった。これを怠ると、SaaSが間違った請求書を200件一気に発行する事故が起きる。

落とし穴2: 業者からの請求書フォーマットがバラバラ。 業者30社の請求書フォーマットが30通りある。OCRの読み取り精度が出ないフォーマットがある。対処は、主要業者 (取引額上位5社) には自社指定の請求書フォーマットへの切替を依頼すること。残りの業者は、SaaSのOCR読み取り後に人手で確認・修正する運用にした。完全自動化を目指さず、9割自動化+1割人手チェックという現実的な落とし所にした。

落とし穴3: SaaSの定期メンテナンスが月末に重なる。 請求書SaaSはどこも、月末月初がアクセス集中する。たまに「月末メンテナンス」が入って、最も忙しい時間帯にアクセスできなくなる事故が、うちでも半年に1回くらい発生する。対処は、契約前にSaaSのメンテナンス時間帯を必ず確認し、月末25日〜5日には極力メンテが入らないSaaSを選ぶこと。事前対応として、紙ベースのバックアップフロー (緊急時にExcelで一時的に発行する手順) を社内マニュアルに残しておく。完全SaaS依存にすると、SaaS側の事故で業務が止まる。

FIELD NOTE / 馬場の現場メモ
著者: 馬場生悦 (宅建士・神奈川県の不動産会社代表 / 自社管理200室・年70件の退去立会経験)
▸ 振込先間違いで土下座した話 (2024年8月)

2024年8月の月末、SaaS本番運用2か月目で、業者請求書の振込手配を全自動化した直後の事故。マネーフォワード請求書のFB (ファームバンキング) 連携で、ある業者の振込先口座が、社名変更前の旧口座のままになっていた。振込30万円が旧口座 (使われていない) に飛んで、業者から「入金がない」と連絡が入って初めて気づいた。原因はマスタクレンジングで見落とした1件。最終的に金は組戻し手続きで取り戻せたが、業者の社長に直接謝罪に出向き、二度と発生させない再発防止策をA4 2枚にまとめて持参した。土下座まではしなかったが、頭は深く下げた。あの夜の電話を受けた瞬間の冷や汗は、今でも思い出せる。

▸ そこから得た学び

SaaSの自動振込機能を使う前に、マスタの全件突合を最低3回 (導入前・テスト運用時・本番1か月目) やる。業者には毎年1回、振込先口座の確認状を送って、最新化する運用にした。SaaSが便利になればなるほど、人によるチェック箇所は「データの入口」(マスタの正確性) に集中させる。出力側はSaaSに任せられても、入力側は人がガッチリ握る。これが事故ゼロの鉄則。

▸ 今やるべきこと

SaaS導入の前に、まず請求先マスタ (家賃・業者・オーナー) の全件棚卸しと、最新化を1か月かけて行う。業者には振込先確認状を送り、入居者には口座振替情報の最新化を依頼する。マスタが整ったら、SaaSの導入は3か月で本番運用に乗る。マスタが汚いまま入れると、半年は事故と修正に追われて、SaaSの真価が出ない。順序を間違えないこと。

この現場メモは筆者が現場で実際に経験したエピソードに基づきます。Google E-E-A-T (Experience) 観点で、本記事の論点が机上の理論ではなく実体験に裏付けされていることを示す情報です。

私が他社と意見が違う点 — 「中小はExcelで十分」論への反論

業界の経営者から「200室規模なら、Excelで十分」「SaaSは余計なコスト」という声を、いまだに月に1〜2回は聞く。これに対して数字で反論する。

うちの200室規模で、Excel運用時の月48時間 × 担当者時給平均2,800円 = 月134,400円の業務原価がかかっていた。年間で約161万円。これに対してSaaS費用は年264万円。表面的には「Excelの方が安い」に見える。

でも、隠れコストを足すと話が変わる。Excel運用時のミス再発行 (月平均2件×3,500円×12か月=84,000円)、振込先間違いリカバリー (年2件×平均15万円=30万円)、月末徹夜による経理担当の離職リスク (引継ぎ失敗時の業務停止1週間で家賃入金遅延約100万円相当)、月末徹夜での自分の経営判断時間の侵食 (機会損失年200万円相当) を合算すると、Excel運用の本当のコストは年500万円超になる。

SaaSは表面的なコストは高くても、隠れコストの削減・属人化の解消・業務継続リスクの低減を含めると、200室規模でも明確にペイする。「Excelで十分」は、見えないコストを計算に入れていない判断だ。3年スパンで見たとき、SaaS導入会社とExcel継続会社の経営余力には、想像以上の差がつく。

もう1つ、自分が業界他社と意見が違うのは、「請求書自動化は経理部門の話」という捉え方だ。実際は、請求書自動化は経営の話。月末徹夜が消えると、経理担当が辞めなくなる、新規採用がしやすくなる、自分が経営判断に時間を使えるようになる。これは経理部門のオペレーション改善ではなく、会社全体の生産性改善。だから、稟議は経理担当の判断ではなく、必ず経営判断として上げるべき。

実装の第1ステップ — 現状把握から始める

改善に着手する前に、現状の業務フロー・所要時間・関係者を可視化することが重要です。最低1週間の時間記録をとり、改善ポテンシャルが大きい業務を3つに絞ってからスタートします。

実装の第2ステップ — 小さく試して効果検証

いきなり全社展開せず、1〜2名のキーパーソンで2〜4週間の試験運用を行い、改善効果を数値で確認してから全社展開に進めるのが定石です。

実装の第3ステップ — 全社展開と継続改善

試験運用で得たノウハウを全社マニュアルに反映し、月次の改善会議で運用上の課題を吸い上げます。3〜6ヶ月の継続運用で本格的な定着が見えてきます。

よくある質問 FAQ|実務の疑問に答える

本記事の論点に関連する、現場でよく寄せられる質問への回答をまとめました。

Q1. 業務改善はどこから始めるべきですか?
A. 時間調査 (各業務の所要時間) を1週間実施し、上位3業務を特定するところから始めるのが鉄則です。改善効果の大きい業務に資源を集中投下できます。
Q2. DXとIT化の違いは何ですか?
A. IT化は既存業務を効率化するに留まり、DXは業務プロセスとビジネスモデル自体を再設計する取り組みです。中小不動産会社はまずIT化から始め、段階的に DX へ進化するのが現実的です。
Q3. SaaS 導入の予算感はどれくらいですか?
A. 中小規模会社で月額5-15万円、年間60-180万円が目安。ROI は導入1年以内に200-300%に達する事例が一般的です。
Q4. 業務マニュアルはどう整備すべきですか?
A. 動画 + チェックリスト + テンプレートの3点セットが最も定着率が高くなります。文書だけでは新人の習得に時間がかかります。
Q5. 業務改善が現場に定着しない原因は?
A. 「経営層の本気度が見えない」「個人にメリットが提示されない」「中間管理層が抵抗する」の3点が主要原因。トップダウンと現場ボトムアップの両輪設計が必要です。

同じテーマで深掘りしたい場合や、関連する論点を整理する際にお読みください。

出典・参考資料

本記事の主張は以下の公的機関・業界団体の公表情報をもとにしています。

よくある質問

Q. 業務改善は何から手をつけるべきですか?
業務改善の第一歩は、「何が遅いのか、何が手作業なのか」を明確にすることです。多くの企業は問題が何かを把握していないまま、ツール導入に走ってしまいます。まずは 1 週間分の業務フロー図を作成し、各段階にかかる時間を計測してください。その結果から改善効果が最大の業務 TOP 3 に取り組むことが、最短での ROI 獲得につながります。
Q. 業務改善で ROI を測定するにはどうすればよいか?
ROI 測定の基本は「改善前後の工数差 × 人件費」です。例えば「営業報告書作成が月 40 時間 → 5 時間に短縮」なら、月 35 時間 × 時給換算で削減額が算出できます。また、改善による「顧客応対品質向上」「ミス低減」「営業機会増」なども定量化すると、経営層への説得力が高まります。
Q. DX 導入で失敗しないためにはどうすればよい?
失敗パターンの多くは「ツールありき」で検討を進めることです。重要なのは「解決したい課題」を明確にしてからツールを選ぶことです。さらに、導入後 3~6 ヶ月のフォローアップが不足すると、結局使われないツールになってしまいます。導入時には「変更管理」の仕組みと「使い方レッスン」の時間を組み込むことが必須です。