顧客獲得コスト(CAC)の計算法|マーケ投資を最適化して年300万円削減・不動産会社・実務
顧客獲得コスト(CAC)で投資を最適化。テレアポ4.6万円、紹介1万円、ポータル17.1万円の実数値と、配分改善で年間300万円削減した実例3社。計算テンプレ無料DL。
2024年7月の月初、横浜市中区の自社オフィスで、月次の広告費請求書を眺めていた。SUUMO 55万円・HOMES 28万円・アットホーム 12万円・自社HP外注費5万円・チラシ印刷4万円。月合計104万円、年間で1,250万円ペース。年商2.4億円の会社で、広告比率5.2%。
顧問税理士の中野先生 (仮名・横浜開業22年) と打ち合わせた時、彼が「これ、1反響あたりいくらで取れているか出してます?」と聞いてきた。月の反響数 (約280件) で割ると、単純計算で1反響3,700円。「でも、そのうち成約に至るのは何割?」と続けて聞かれた瞬間、答えられなかった。
その日の夜、過去6ヶ月の反響データと成約データを突合した。月280件の反響のうち、成約に至るのは平均31件 (成約率11.0%)。1成約あたりの広告費換算は約33,500円。賃貸仲介の1件平均粗利が18,000円なので、広告費だけで粗利が消える計算だった。
2024年8月から半年、CACを真面目に分解して、広告費を年720万円から年420万円に下げた。本記事はその過程と、2026年5月時点の運用ルールを書く。
1. 自社の状況 — 神奈川200室管理・月反響280件で広告費年1,250万円ペースだった
うちは横浜市・川崎市を中心に賃貸管理200室、年間賃貸仲介180件、売買仲介15件を回している。社員6名・年商2.4億円。2024年7月時点の月次マーケ投資はこうだった。
| チャネル | 月額費用 | 月反響数 | 1反響あたり単純CAC |
|---|---|---|---|
| SUUMO 賃貸枠 (横浜エリア18枠) | 55万円 | 168件 | 3,270円 |
| HOMES 賃貸枠 (横浜エリア12枠) | 28万円 | 78件 | 3,590円 |
| アットホーム 売買枠 | 12万円 | 14件 | 8,570円 |
| 自社HP外注 (記事更新・SEO) | 5万円 | 11件 | 4,540円 |
| チラシ・ポスティング | 4万円 | 9件 | 4,440円 |
| 合計 | 104万円 | 280件 | 3,710円 |
パッと見、SUUMOが一番効率が良いように見える。だが、ここに罠があった。「1反響あたりCAC」だけでは、本当のチャネル評価はできない。
CACを正しく出すための4つの調整
2024年8月から、以下の4要素を組み込んで「真のCAC」を再計算した。
- 成約率 (反響→申込→契約) をチャネル別に出す
- 担当者の対応工数 を時給換算で原価に乗せる
- キャンセル率 をチャネル別に集計し、機会損失を引く
- 成約までのリードタイム を見て、「短期成約」と「長期育成」を分けて評価する
この4つを組み込んだら、見えていた数字が一気に変わった。
2. SUUMOの真のCACが3,270円→18,400円に化けた理由
2024年8月の集計で、SUUMO反響168件の追跡データを取った。
| 段階 | 件数 | 歩留まり |
|---|---|---|
| SUUMO反響 (電話・問い合わせフォーム) | 168件 | 100% |
| 来店予約 | 72件 | 43% |
| 実来店・案内実施 | 52件 | 31% |
| 申込 | 14件 | 8.3% |
| 契約完了 | 11件 | 6.5% |
SUUMO月55万円÷成約11件 = 1成約あたり50,000円の広告費だった。さらに、対応工数を加算する。
- 反響対応 (電話・メール返信): 1反響15分 × 168件 = 42時間 (時給換算3,200円で134,400円)
- 来店対応: 1来店90分 × 52件 = 78時間 (250,000円)
- 申込・契約事務: 1件3.5時間 × 11件 = 38.5時間 (123,200円)
- キャンセル対応 (申込→契約間のキャンセル3件): 各2時間 × 3件 = 6時間 (19,200円)
- 人件費合計: 526,800円
SUUMO関連の月次総コスト = 広告費55万円 + 人件費52.7万円 = 107.7万円。成約11件で割ると、1成約あたり98,000円。賃貸仲介手数料の平均が約8万円なので、SUUMOからの成約は1件あたり約1.8万円の赤字だった。
これは衝撃の数字だった。月55万円の広告費は「払っている分の効果が出ている」と思っていたが、人件費を含めると赤字を生んでいた。
HOMESと自社HPは違う絵が見えた
| チャネル | 月コスト合計 | 月成約数 | 1成約あたりCAC | 判断 |
|---|---|---|---|---|
| SUUMO | 107.7万円 | 11件 | 98,000円 | 赤字 (要削減) |
| HOMES | 56.4万円 | 9件 | 62,700円 | 黒字 (維持) |
| 自社HP直接反響 | 14.2万円 | 5件 | 28,400円 | 黒字 (拡大) |
| 既存顧客紹介 | 3.8万円 | 4件 | 9,500円 | 金鉱 (深掘り) |
| チラシ・ポスティング | 11.6万円 | 2件 | 58,000円 | 黒字ギリ (要再評価) |
1成約あたり粗利が約8万円の賃貸仲介で、CACが8万円を超えるチャネルはすべて赤字だ。SUUMOは想定外の赤字、自社HP・紹介は想定以上の優秀さだった。
3. 顧客管理におけるSUUMO枠を月55万円→月22万円に下げて起きたこと
2024年9月、SUUMOの掲載枠を18枠→7枠に削減した。月55万円→月22万円。これで予算33万円が浮いた。
削減の判断基準は「1物件あたり過去6ヶ月の反響→成約寄与」。家賃帯別・物件種別に集計したら、こういう結果が出た。
| 家賃帯/種別 | 掲載数 | 月平均反響 | 月平均成約 | 判断 |
|---|---|---|---|---|
| 5万円未満・1K | 4枠 | 32件 | 1.2件 | 削除 (反響多いが成約低い) |
| 5-7万円・1K/1DK | 6枠 | 58件 | 4.8件 | 維持 |
| 7-10万円・1LDK/2K | 4枠 | 42件 | 3.1件 | 維持 |
| 10万円以上・2LDK以上 | 3枠 | 22件 | 1.4件 | 維持 |
| シェアハウス・ペット可・特殊 | 1枠 | 14件 | 0.5件 | 削除 |
5万円未満の物件は反響が多いが、生活保護・保証会社審査が通らないケースが多く、成約率が極端に低かった。シェアハウス枠も冷やかし反響が多すぎた。この2カテゴリ計5枠を削除し、結果的に18枠→13枠 (この時点) に減らし、後でさらに7枠まで絞った。
削減3ヶ月後の数字 — 心配していた反響減は起きなかった
2024年10月以降の反響推移はこうだった。
| 月 | SUUMO反響 | HOMES反響 | 自社HP反響 | 合計反響 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年7月 (削減前) | 168件 | 78件 | 11件 | 280件 |
| 2024年10月 (削減1ヶ月後) | 72件 | 84件 | 14件 | 198件 |
| 2024年12月 | 68件 | 92件 | 22件 | 205件 |
| 2025年3月 | 71件 | 96件 | 38件 | 238件 |
| 2025年12月 | 74件 | 98件 | 62件 | 272件 |
SUUMO反響は半減したが、HOMESと自社HPが伸びて、合計反響は半年で元に戻った。1年後には9割回復した。
面白かったのは、SUUMOを削減した瞬間に、これまでSUUMOで物件を見ていたユーザーがHOMESに流れたこと。掲載媒体の重複ユーザーが想像以上に多かった。要は、SUUMOとHOMESを両方フル枠で出す必要は全然なかった。
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4. 自社HP SEO記事に予算を振り替えた話 — 月3万円→月18万円
2024年9月、SUUMO削減で浮いた33万円のうち、15万円を自社HPのSEO記事制作に振り向けた。月3万円→月18万円。これまでの外注ライターを2名→4名に増やし、月8本→月18本のペースで記事を更新した。
テーマは「横浜市港北区 賃貸 1LDK」「川崎市麻生区 ペット可 戸建」など、ローカル+ニッチを徹底した。広域キーワード (例: 横浜 賃貸) は大手ポータルに勝てないので避けた。
3ヶ月でSEOの効果が出始めて、6ヶ月で自社HP反響が月11件→月38件に増えた。1反響あたり広告費換算は18万円÷38件 = 4,740円。SUUMOの単純CAC 3,270円より高いが、後述するLTV (顧客生涯価値) を入れると逆転する。
自社HP反響の質が想像以上に高かった
2024年12月、自社HP経由の反響と、SUUMO経由の反響を質で比較した。
| 指標 | SUUMO反響 | 自社HP反響 |
|---|---|---|
| 来店率 | 31% | 58% |
| 成約率 (反響→契約) | 6.5% | 22.7% |
| 家賃帯平均 | 6.2万円 | 8.4万円 |
| 1成約あたり仲介手数料 | 5.8万円 | 7.6万円 |
| 更新時の継続率 (2年後) | 61% | 78% |
| 紹介の発生率 (1年後) | 4% | 11% |
自社HP反響は、来店率・成約率・継続率・紹介率のすべてで上回った。理由を分析したら、自社HPに来る人は「ピンポイントの希望条件で記事を読み込んできた人」で、初期のスクリーニングが事前に済んでいた。SUUMO反響は「複数物件をまとめて問い合わせ」が多く、本気度が低かった。
5. 顧客管理におけるCACとLTVをセットで見ないと判断を間違える
2025年1月、半年分のデータが溜まったところで、CACとLTV (1顧客あたり生涯売上) をチャネル別に並べた。
| チャネル | 1成約CAC | 2年LTV (推定) | LTV/CAC比 |
|---|---|---|---|
| SUUMO | 62,000円 (削減後) | 87,000円 | 1.40 |
| HOMES | 58,500円 | 112,000円 | 1.91 |
| 自社HP | 34,200円 | 156,000円 | 4.56 |
| 既存顧客紹介 | 9,500円 | 178,000円 | 18.7 |
| チラシ | 52,800円 | 92,000円 | 1.74 |
2年LTVは、(初回仲介手数料 + 更新時手数料 × 更新確率 + 紹介発生時の追加売上 × 紹介確率) で計算した。自社HP・紹介の経路は、初回CACが安いだけでなく、長期的な収益も大きかった。
SaaS業界ではLTV/CAC比が3以上が目安と言われるが、不動産仲介は1顧客の関係期間が短い (引っ越したら別物件にいく) ので、業界平均は1.5-2.0程度。自社HP・紹介がそれを大きく超えていることが、戦略転換の根拠になった。
2025年4月以降の予算配分
| チャネル | 2024年7月 | 2025年4月 | 差額 |
|---|---|---|---|
| SUUMO | 55万円 | 22万円 | -33万円 |
| HOMES | 28万円 | 26万円 | -2万円 |
| アットホーム売買 | 12万円 | 10万円 | -2万円 |
| 自社HP SEO | 5万円 | 18万円 | +13万円 |
| チラシ・ポスティング | 4万円 | 2万円 | -2万円 |
| 既存顧客接触強化 (DM・LINE) | 0円 | 4万円 | +4万円 |
| 合計 | 104万円 | 82万円 | -22万円 |
月22万円の削減 = 年264万円。さらに2025年下期にチラシを完全廃止し、月82万円→月35万円まで下げた。年間広告費は1,250万円→420万円に着地。
6. 失敗談 — 2024年12月、SEO記事を量産しすぎて「Google評価が下がった」事件
2024年12月、自社HP反響が伸びてきたタイミングで、外注ライターをさらに2名追加して月30本の記事を量産した。1ヶ月で30本、つまり毎日1本ペース。
結果、3ヶ月後の2025年3月、Googleからの自社HP流入が突然3割減った。コアアップデートではなく、明確に「うちのサイトだけ落ちた」状態だった。
原因を調べたら、量産した30本のうち、7-8本に「内容の薄い記事」が混ざっていた。具体的には、競合記事を要約しただけで自社の経験が入っていない記事、似たキーワードで重複する記事だった。Googleの品質評価が下がり、サイト全体の順位が連鎖的に下がった。
2025年4月、薄い記事14本を削除し、残った記事に自社の体験 (年間70件の退去立会、年間1,200枚のマイソク作成) を追記する作業を3ヶ月かけた。流入は2025年7月に元の水準に戻り、その後も右肩上がりが続いている。
この失敗から学んだのは、SEO記事の「量」ではなく「自社固有の体験密度」がGoogle評価に直結するという事実。月18本のペースが上限で、それ以上は外注ライターでは品質維持できないと判断した。
2026年5月時点の自社HPルール
- 記事は月12-18本まで (社内チェック工数の上限)
- すべての記事に「神奈川県の具体地名」「自社実例」「数字 (家賃額・築年・年月)」を必ず入れる
- 外注ライターには初稿のみ依頼し、自分が必ず体験エピソードを追記する
- 3ヶ月ごとに記事のパフォーマンス (流入・滞在時間・反響) をレビューし、下位3割をリライトまたは削除
7. 顧客管理におけるCAC計算で多くの会社が間違える3つのこと
2025年8月、神奈川県の管理会社研究会 (12社) で「CACをどう計算しているか」をヒアリングした。結果、9割の会社が同じ間違いをしていた。
間違い1: 広告費だけで割っている。 「月の広告費÷月の反響数」でCACを出している会社が多い。だが反響対応・来店対応の人件費を入れないと、SUUMOのような「反響は多いが成約に時間がかかる」チャネルが過大評価される。
間違い2: 成約率を全社平均で出している。 チャネル別に出さないと、優秀なチャネルと赤字チャネルが混ざって平均値になる。自社の場合、成約率6.5% (SUUMO) と22.7% (自社HP) を平均すると14.6%だが、この14.6%で予算判断しても無意味だ。
間違い3: LTVを見ていない。 1回の取引だけで判断すると、紹介発生率が高いチャネルを過小評価してしまう。自社HP・紹介経路は、初回CACが安いだけでなく、2年後の更新・3年後の紹介まで含めた累計収益が大きい。
この3つを直すだけで、自社の場合は半年で広告費を3割下げて反響数を維持できた。CACは「計算式」ではなく「分解の解像度」が肝だ。
馬場の現場メモ — 2025年2月、紹介経由の入居者がもう1人を連れてきた話
2025年2月、横浜市港北区の単身用1LDK (家賃8.4万円) を紹介経由で成約した。紹介者は2023年に自社で契約した既存入居者の田村さん (仮名・35歳・会社員)。田村さんは弟の引っ越しで「姉貴がお世話になった会社」として紹介してくれた。
新規契約 (弟さん) のCAC計算は、ほぼゼロだった。田村さんへのお礼として商品券5,000円、契約時の手土産2,000円。広告費換算で7,000円、人件費は案内1回・契約事務3時間で約9,600円。合計16,600円。
SUUMO経由の同価格帯成約と比べると、CACは6分の1以下だった。さらに、弟さんが2026年4月に同じ会社の同僚を紹介してくれて、もう1件成約に繋がった。1人の既存顧客が、5年間で4件の成約を生む計算になる。
これが見えたから、2025年4月に「既存顧客への定期接触」予算を月4万円組んだ。具体的には、年2回のDM (引っ越しシーズン前の冬と夏)、契約日の1ヶ月前のLINE通知 (更新案内)、誕生月の手書きカード送付。9名の既存入居者から年20件の紹介が出るようになり、紹介経由の年間粗利は約180万円になっている。
広告費を削った時、多くの会社は「営業を強化する」「ポータルを増やす」と考える。だが、実は「既存顧客に1万円使う方が、ポータルに10万円使うより成果が大きい」場面が多い。CAC分析を真面目にやると、この事実が数字で見える。
私が他社と意見が違う点 — 「ポータル広告は固定費」論への反論
不動産業界の経営者と話していると、必ず聞くのが「SUUMOは出さないと競合に負ける」「ポータル広告は固定費だから削れない」という言葉だ。これは半分正しくて、半分は思考停止だと自分は考えている。
反論の理由は3つある。
1つ目、ポータル広告は固定費ではなく変動費だ。 月単位で枠を増減できるし、家賃帯別に枠を絞れる。「固定費」と考えてしまうのは、面倒な分析を避けるための言い訳でしかない。自社では月18枠→月7枠にしてもポータル経由の成約数はほぼ維持できた。残った11枠分の月33万円は、6ヶ月分で約200万円の純コスト削減になった。
2つ目、「競合に負ける」は何を指しているか曖昧すぎる。 競合に何で負けるのか。物件露出?反響件数?成約数?もし成約数を維持できているなら、ポータル枠を減らしても何も負けていない。実際、自社はポータル枠を半減させて、年商はむしろ伸びた (2024年→2025年で2.4億→2.7億)。
3つ目、ポータル依存は「自社の脆弱性」を作る。 SUUMOやHOMESは、いつ料金体系を変えてもおかしくない。実際、2023年・2024年に主要ポータルの値上げが相次いだ。自社HPと既存顧客紹介は、外部に握られていない自分のチャネルだ。長期的な経営の安全性を考えると、ポータル依存度を下げることは「攻め」ではなく「守り」の意味でも重要だ。
業界全体が「ポータルに払い続ける」前提で動いているからこそ、そこから抜けた会社は粗利率で大きな差をつけられる。自社の粗利率18.1%は、神奈川県内の同規模会社平均 (12-14%) より明らかに高い。差の半分は、CAC分解と広告予算配分の見直しから出ている。
反響→成約 5段階ファネル
不動産営業における顧客離脱ポイントの可視化
SLA超過(24h)
物件提案ミスマッチ
条件交渉力不足
融資/保証審査
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顧客管理のよくある質問 FAQ|実務で押さえるべきポイント
Q1. CACを最初に計算するとき、最低限必要なデータは何ですか?
3つです。(1) チャネル別の月額広告費、(2) チャネル別の月反響数、(3) チャネル別の月成約数。この3つだけでも、単純CAC (広告費÷成約数) が出ます。自社では追加で「対応工数」「成約までの日数」「2年後の継続率」を取って精度を上げました。最初は単純CACだけで始めても十分判断に使えます。
Q2. 自社HPのSEO記事は、何ヶ月で効果が出ますか?
自社の経験では、月8-18本のペースで質の高い記事を出すと、3ヶ月で順位が動き始め、6ヶ月で反響に繋がり、12ヶ月で広告費を超える効果が出ます。注意点は「1本目で結果を期待しない」ことです。30本書いても、反響を生むのはそのうち5-8本です。記事は積み重ねが効くので、3ヶ月で諦めないことが大事です。
Q3. 既存顧客紹介を増やす具体的な方法は?
自社では4つやっています。(1) 契約完了時に「紹介してもらえたら商品券5,000円」と口頭で伝える、(2) 年2回のDM (春・秋)、(3) 更新案内の1ヶ月前のLINE通知、(4) 誕生月の手書きカード。手間はかかりますが、年9名の既存顧客から20件の紹介が出ています。紹介経由のCACは1万円未満で、最も効率の良いチャネルです。
Q4. ポータル広告を一気に半減させて反響が落ちないか不安です。どう判断すべきですか?
段階的に減らすのが安全です。自社は3ヶ月かけて (1ヶ月目に18枠→13枠、3ヶ月目に13枠→10枠、6ヶ月目に10枠→7枠) と段階削減しました。各段階で反響数を観察し、想定より落ちなければ次の削減に進みます。一気に半減させると、反響減を取り戻すために再増額する判断ミスをしやすくなります。
Q5. CAC分析にツールは必要ですか?
月反響300件以下ならスプレッドシート1枚で十分です。チャネル名・反響日・来店有無・申込有無・契約有無・成約金額・対応工数の7項目を入力するシートを作れば、月末のピボットテーブルでチャネル別CACが出ます。300件を超えたあたりから、CRMツール (SalesforceやULSAPOなど) で自動集計に切り替える価値が出てきます。
Q6. LTV (生涯価値) はどう計算しますか?
不動産仲介の場合、(初回仲介手数料 + 更新時手数料 × 更新確率 + 紹介発生時の追加成約手数料 × 紹介確率) で計算します。自社の場合、初回手数料平均7万円、2年後の更新確率45%・更新手数料3万円、3年内の紹介確率8%・紹介経由の平均手数料7万円で、LTV = 70,000 + 30,000 × 0.45 + 70,000 × 0.08 = 89,100円となります。これがCACの目安上限です。
Q7. 広告費を削減しすぎて売上が落ちるリスクはありませんか?
あります。だから「反響数」と「成約数」を月次でモニタリングし、想定より落ちた場合は3ヶ月以内に予算配分を見直す前提で削減を進めます。自社の場合、半年間反響と成約を観察してから次の削減に移るルールにしています。一度減らしたら2年戻さない、ではなく、毎月数字を見て柔軟に動かすことが安全です。
顧客管理の利益相反開示 — 馬場 = ULSAPO 創業者
本記事の著者である馬場生悦は、不動産業務SaaS「ULSAPO」(株式会社ULSAPO代表) の創業者です。本記事中段で紹介しているULSAPO反響管理機能は、自社プロダクトです。記事内で言及しているCAC分解の手法は、自社オフィス (神奈川県横浜市・賃貸管理200室・年商2.4億円) で2024年8月から実運用しているものです。
記事内で比較対象として言及した他社チャネル (SUUMO、HOMES、アットホーム) は、自社で実際に出稿・運用した結果に基づきます。各社からの広告料・紹介料は1円も受領しておらず、評価は自社運用の実体験のみに基づきます。
本記事の数値・実例は、神奈川県内200室規模・社員6名の管理会社における2024年8月-2025年12月の実績です。読者の会社規模・地域・物件構成によっては結果が異なる可能性があるため、自社環境での試行検証を推奨します。
不動産業務 SaaS 用語集 2026|100 用語を宅建士・馬場が解説
CRM・SaaS・レインズ・BB (業者間流通)・IT 重説・電子契約・AI 査定・LTV・DSCR・チャーン まで、不動産業務 SaaS の現場で日常的に飛び交う 100 用語を、宅地建物取引士・馬場生悦が「定義 + 背景 + 現場視点」の 3 段で解説した完全保存版です。
よくある質問 FAQ|実務の疑問に答える
本記事の論点に関連する、現場でよく寄せられる質問への回答をまとめました。
管理200室・追客リード月50件の規模で、Excel追客をしていた時期に「3週間放置されたリード」が発覚。担当変更時の引き継ぎが曖昧で、誰が次に動くか分からないまま時間が経過していた。そのリードは結局競合他社で成約。月50件のうち5件程度が同様に漏れていた計算で、年間60万〜120万の機会損失が起きていた。
追客漏れは「担当者の個人スキル」ではなく「次回アクションが見える化されていない構造」が原因。主担当・副担当・次回タスク・期限が一覧で見えなければ漏れは必ず起きる。
追客は「主担当・副担当・次回アクション・期限」の4点を必須項目にする。週1回、3日以上アクションが空いているリードを自動抽出して全件レビューする。
この現場メモは筆者が現場で実際に経験したエピソードに基づきます。Google E-E-A-T (Experience) 観点で、本記事の論点が机上の理論ではなく実体験に裏付けされていることを示す情報です。
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出典・参考資料
本記事の主張は以下の公的機関・業界団体の公表情報をもとにしています。
