実務コラム

マイソク 必須記載 12 項目 2026|宅建業法準拠 + 反響率を上げる現場ルール

公開日: 2026/05/20著者:
マイソク 必須記載 12 項目 2026|宅建業法準拠 + 反響率を上げる現場ルール

マイソクに必ず記載すべき 12 項目を宅建業法・景品表示法・公正競争規約の根拠とともに解説。さらに反響率を上げる「載せるべき情報」「隠してはいけない情報」を、宅建士・馬場が現場検証ベースで完全網羅。

マイソク 必須記載 12 項目 2026|宅建業法準拠 + 反響率を上げる現場ルール
最終更新 | 著者: 馬場生悦 (宅建士)
公開: 2026-05-20 更新: 2026-05-20 監修: 馬場 (宅地建物取引士) カテゴリ: マイソク 所要 25 分

TL;DR — この記事の要点 6 つ

  • マイソクに「載っていないと違反になる」項目は 12 個。宅建業法 第 32 条 (誇大広告禁止) / 第 34 条 (取引態様の明示) / 不動産公正競争規約 第 8 条 (必要表示事項) を合わせると、物件名・所在地・種別・構造・築年月・面積・価格・取引態様・取引条件・駅徒歩・取引主体・免許番号の 12 項目に集約される。
  • 違反すると最大 50 万円の罰金 (公正競争規約) + 業務停止 (宅建業法 第 65 条) + 業界団体からの厳重注意。2025 年度の景品表示法措置命令でマイソク広告関連は 14 件、過去 5 年で最多を更新した。
  • 法定 12 項目に加えて、反響率を 1.4〜1.8 倍にする「追加 8 項目」 (写真 / 設備 / 周辺環境 / 学区 / 駐車場 / インターネット / 入居可能日 / 礼金敷金) を載せると、初回反響後の質問数が約 40% 減り、内見成約率が上がる。
  • 逆に 「隠してはいけない情報」もある。告知事項 (事故物件)・騒音・修繕履歴・近隣紛争などはマイソク段階で開示するのが現場の正解。隠すと契約解除 + 損害賠償リスク。
  • 本文に 賃貸マイソクテンプレ + 売買マイソクテンプレ + NG 例集 (実例 6 件) を掲載。明日から使える検証済みフォーマット。
  • ULSAPO のマイソク作成機能には 12 項目自動チェック + 駅徒歩自動計算 + 告知事項アラートが内蔵されており、宅建士の最終確認時間を 1 物件 8 分 → 2 分に短縮できる。

1. 結論: 必須 12 項目 + 反響率を上げる追加 8 項目

マイソク作成の現場でよく聞かれるのが「結局、何を載せれば法律的にセーフで、かつ反響が取れるのか」という質問です。結論から書きます。法律で「載せていないと違反」となる項目は 12 個。そして「載せると反響率が上がる」追加項目が 8 個。この 20 項目をセットで頭に入れておけば、マイソクの設計判断はほぼ迷いません。

まず先に全体像を 1 枚の表で示します。各項目の根拠条文・記載ルール・違反例は H2-3 以降で 1 つずつ解説していきます。

区分項目根拠 (法律 / 規約)違反時の主なリスク
法定
必須
12 項目
(1) 物件名 (物件の名称)公正競争規約 第 8 条違反警告
(2) 所在地公正競争規約 第 8 条違反警告 + おとり広告認定リスク
(3) 物件種別 (マンション/戸建/土地/賃貸)公正競争規約 第 8 条違反警告
(4) 構造・規模 (RC/木造、階数)公正競争規約 第 8 条違反警告
(5) 築年月 (新築の場合は完成予定年月)公正競争規約 第 8 条・第 18 条違反警告 + 景表法違反リスク
(6) 面積 (専有面積 / 土地面積 / 建物面積)公正競争規約 第 8 条違反警告 + 重要事項説明違反リスク
(7) 価格 (賃料・売買価格・諸費用)景表法 + 公正競争規約 第 8 条50 万円以下の罰金 (景表法)
(8) 取引態様 (売主/代理/媒介の別)宅建業法 第 34 条業務停止処分
(9) 取引条件 (媒介報酬、手付金、引渡時期)公正競争規約 第 8 条違反警告
(10) 最寄駅と徒歩分数公正競争規約施行規則 第 9 条違反警告 + 誇大広告認定リスク
(11) 取引主体 (商号・本店住所)宅建業法 第 50 条業務停止処分
(12) 免許番号 (宅建業者免許)宅建業法 第 50 条業務停止処分
追加
反響率
8 項目
(13) 物件写真 (内外観 5〜12 枚)反響率 -32%
(14) 設備 (エアコン/オートロック/独立洗面等)問い合わせ後の質問増加
(15) 周辺環境 (スーパー/コンビニ/病院)反響率 -18%
(16) 学区 (小学校/中学校)ファミリー層離脱
(17) 駐車場 (有無 / 月額 / 空き状況)地方物件で離脱率増
(18) インターネット (光/無料/工事要)20-30 代の反響減
(19) 入居可能日 (即入居/応相談)急ぎ客の離脱
(20) 礼金敷金・初期費用総額公正競争規約 第 8 条 (一部必須)反響後トラブル
よく「もう経験で分かるから根拠なんて確認しなくていい」と言うベテランほど、最近のおとり広告認定や告知事項ガイドライン改定でアウト判定を出されています。この 12+8 項目は、ベテランほど「ルールが古くて自信過剰」になりやすい領域です。私自身、宅建士登録後 10 年経った頃に措置命令の事例集を読み直して、自社マイソクから 3 項目落ちていたことに気づきました。法律と現場ルールはセットで覚え直すのが正解です。
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2. 法的必須 12 項目の全体像 (根拠条文つき)

マイソクに記載が義務づけられる項目は、大きく 3 つの法令・規約から導き出されます。順に整理します。

2-1. 宅建業法 第 32 条 (誇大広告等の禁止)

宅地建物取引業法 第 32 条 (誇大広告等の禁止)
宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は当該宅地若しくは建物の代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは当該宅地若しくは建物の代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあっせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

この条文を「マイソクにおいて何を載せるべきか」に翻訳すると、所在地・規模 (面積)・形質 (構造・設備)・利用制限 (用途地域・建ぺい率)・環境・交通 (駅徒歩)・価格・支払方法・ローンあっせんのすべてが「載せる場合は事実と一致させなければならない」対象になります。逆に言えば、これらを載せないこと自体は違反ではありませんが、「載せた以上は正確に」という縛りがかかります。

2-2. 宅建業法 第 34 条 (取引態様の明示)

宅地建物取引業法 第 34 条 (取引態様の明示)
宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときは、自己が当該売買、交換又は貸借の当事者となつて当該売買若しくは交換を成立させるか、代理人として当該売買、交換若しくは貸借を成立させるか、又は媒介して当該売買、交換若しくは貸借を成立させるかの別 (次項において「取引態様の別」という。) を明示しなければならない。

取引態様 = 売主 / 代理 / 媒介 (一般・専任・専属専任) のいずれかをマイソクに必ず明示。媒介の場合は媒介種別まで書くのが業界慣行です。これは「載せないこと自体が違反」となる稀有な項目で、抜けると業務停止処分の対象になります。

2-3. 不動産公正競争規約 第 8 条 (必要表示事項)

業界自主規約として最も詳細に「マイソクに載せるべき項目」を定めているのが、不動産公正取引協議会連合会の「不動産の表示に関する公正競争規約」第 8 条 (必要表示事項) です。この第 8 条が事実上のマイソク必須項目リストの本丸で、賃貸/売買/新築/中古の物件区分ごとに細かく定められています。

不動産の表示に関する公正競争規約 第 8 条 (必要な表示事項)
事業者は、規則で定める表示媒体を用いて表示するときは、規則で定めるところにより、物件の種別ごとに規則で定める事項について、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明瞭に表示しなければならない。

施行規則 第 8 条別表で挙げられる必要表示事項を、賃貸・売買のマイソクに必要な範囲で整理したのが先ほどの表の 12 項目です。「分かりやすい表現で明瞭に」と書かれている点が重要で、小さすぎる文字、見にくい色、隅っこに書く、などは「形式的には載せているが実質的に違反」と認定されるリスクがあります。

2-4. 景品表示法 (景表法)

マイソクは「広告物」に該当するため、景品表示法 第 5 条 (不当表示の禁止) の対象でもあります。とくに価格表示について「総額表示義務 (税込)」と「優良誤認・有利誤認の禁止」が問われ、違反すると消費者庁から措置命令 + 公表 + 最大 3% の課徴金が課されます。2025 年度の不動産関連措置命令はマイソク広告関連だけで 14 件と、過去 5 年で最多を更新しました。

2025 年度の措置命令事例の典型パターンは「賃料表示で共益費を別記して総額を小さく見せた」「中古マンションの価格を税抜で表示し諸費用を別計」「『敷金 0 礼金 0』とうたいながら別途保証会社費用 1 ヶ月を必須化していた」の 3 つ。いずれも消費者庁の調査では「明らかな有利誤認」と判定されています。1 件あたりの課徴金は数百万円〜数千万円規模、加えて社名公表のダメージが甚大。

2-5. 国交省ガイドライン (告知事項)

2021 年に国土交通省が策定した 『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』 は 2026 年現在も有効で、事故物件 (自殺・他殺・原因不明の死亡・特殊清掃を伴う孤独死) の告知義務をマイソク段階から課しています。詳細は H2-6 で扱います。

3. 各項目の正確な記載ルール

ここからは法定 12 項目それぞれについて「何を書くか」「どう書くか」「典型的な NG 例」を具体的に解説します。

01物件名 (物件の名称)

何を書くか: マンション名・アパート名・分譲地名など、物件を特定できる固有の名称。新築の場合は仮称でも可だが、その旨を明示する。

正しい書き方: 「ライオンズマンション目黒 305 号室」のように「物件名+住戸番号」が基本。

NG「目黒の高級マンション」「駅近の人気物件」「ライオンズ系マンション」
OK「ライオンズマンション目黒 305 号室」「(仮称) ヴェルディ恵比寿 (2027 年 3 月完成予定)」

馬場の現場ルール: 物件名に住戸番号まで入れる癖をつけると、後で「同マンション別住戸」との混同事故が起きません。

02所在地

何を書くか: 都道府県・市区町村・町名・地番まで。マンションの住戸番号は省略しても可。

正しい書き方: 「東京都目黒区目黒 1-2-3」が基本。住居表示が未実施の地域は地番表記でも可。

NG「目黒区目黒」(町名以下が抜けている) / 「JR 山手線目黒駅徒歩 5 分」(所在地ではなく駅情報のみ)
OK「東京都目黒区目黒 1-2-3 ライオンズマンション 305」
注意: 「番地非公開」は原則 NG。例外として「個人売主の戸建売却」で売主のプライバシー保護のため番地を伏せるケースのみ許容され、その場合も「地番〇〇丁目」までは記載するのが業界慣行です。

03物件種別

何を書くか: マンション / 戸建 / 土地 / 賃貸マンション / 賃貸アパート / 事業用 (店舗・事務所・倉庫) の別。新築/中古の別もここに含める。

正しい書き方: 「中古マンション」「新築戸建」「土地 (建築条件なし)」のように一目で分かる表現。

NG「物件」「不動産」「住居系」
OK「中古マンション (専有面積 65.4㎡ 3LDK)」「新築戸建 (土地 110㎡・建物 95㎡)」「土地 (建築条件なし 130㎡)」

04構造・規模

何を書くか: 鉄筋コンクリート (RC) / 鉄骨鉄筋コンクリート (SRC) / 鉄骨造 (S) / 木造 (W) など建物構造、および地上 〇 階建 / 地下 〇 階建の階数。物件住戸の所在階も。

正しい書き方: 「RC 造 14 階建 / 5 階部分」「木造 2 階建 (1F)」

NG「マンション (構造記載なし)」「高層階」(階数の具体記載なし)
OK「RC 造 14 階建 / 9 階部分 (角部屋)」

05築年月

何を書くか: 建物の竣工年月。新築の場合は「完成予定年月」+「予定」と明示。

正しい書き方: 「2018 年 3 月築 (築 8 年)」「2027 年 3 月完成予定 (新築)」

NG「築浅」「比較的新しい物件」(年月の具体記載なし) / 「2020 年築」(月の記載なし、減価償却計算に支障)
OK「2018 年 3 月築 (築 8 年)」「未入居 (2024 年 11 月築)」
「新築」表記の厳格ルール: 公正競争規約 第 18 条で「新築」と表示できるのは「未入居かつ建築完成後 1 年未満」に限定されます。これを超えたら「未入居」と表記し、「新築」とは書けません。違反すると公正取引協議会から警告 + 措置命令の可能性があります。

06面積

何を書くか: マンション = 専有面積 (壁芯面積、㎡で記載) / 戸建 = 土地面積 + 建物面積 / 土地 = 土地面積。バルコニー面積は専有面積に含めず別記。

正しい書き方: 「専有面積 65.42㎡ (壁芯) / バルコニー 8.5㎡」「土地 110.23㎡ / 建物 95.18㎡」

NG「約 65㎡」「広々」「ゆとりの 60㎡台」(具体数字なし)
OK「専有面積 65.42㎡ (壁芯) / バルコニー 8.5㎡」
「壁芯」と「内法」の違い: マンションの面積表示は壁芯面積 (壁の中心線で囲まれた面積) が一般的ですが、登記簿は内法面積 (壁の内側で囲まれた面積) で記載されます。差は約 3〜5%。マイソクには「壁芯」「内法」のどちらの基準かを明示すると親切。重要事項説明では必ず内法も併記します。

07価格 (賃料・売買価格)

何を書くか: 売買 = 売買価格 (税込総額)。賃貸 = 月額賃料 + 共益費・管理費 + 敷金・礼金 + その他一時金。

正しい書き方: 「売買価格 3,580 万円 (税込)」「賃料 9.5 万円 / 共益費 5,000 円 / 敷金 1 ヶ月 / 礼金 1 ヶ月」

NG「3,500 万円〜」(レンジ表記で確定価格を曖昧化) / 「賃料応相談」(価格未表示) / 「3,000 万円台」(端数表記)
OK「売買価格 3,580 万円 (税込・諸費用別途)」「賃料 95,000 円 (共益費 5,000 円込み計 100,000 円)」
2025 年度の措置命令で最多パターンが「価格表示」の違反。とくに『管理費を別記して賃料を小さく見せる』『土地・建物価格を分割表示して総額を小さく見せる』は景表法 第 5 条の有利誤認に該当し、命令対象になります。

08取引態様 (売主・代理・媒介の別)

何を書くか: 「売主」「代理」「媒介 (一般)」「媒介 (専任)」「媒介 (専属専任)」のいずれか。媒介の場合は媒介種別まで記載するのが業界慣行。

正しい書き方: 「取引態様: 媒介 (専任)」「取引態様: 売主」

NG記載なし / 「仲介」(法律用語の「媒介」を使う)
OK「取引態様: 媒介 (専任)」
義務違反のリスク最大: 取引態様の明示は宅建業法 第 34 条の義務であり、抜けると業務停止処分の対象です。「広告にスペースがなかった」「うっかり忘れた」は通用しません。テンプレに必ず取引態様欄を確保するのが安全。

09取引条件

何を書くか: 売買 = 媒介報酬 (仲介手数料の % または額)・手付金・引渡時期・ローン特約。賃貸 = 契約期間・更新料・保証会社・保証人要否。

正しい書き方: 「仲介手数料: 売買価格の 3% + 6 万円 (税別)」「引渡時期: 2026 年 8 月予定」

NG「諸費用別途」(具体額なし) / 「ご相談」(曖昧)
OK「仲介手数料: 売買価格の 3% + 6 万円 (税別) / 手付金: 売買価格の 10% / 引渡時期: 2026 年 8 月予定 / ローン特約: 有」

10最寄駅と徒歩分数

何を書くか: 路線名 + 駅名 + 徒歩分数 (バス利用の場合はバス停名 + 所要分数 + 徒歩分数)。

正しい書き方: 「JR 山手線 目黒駅 徒歩 5 分」

NG「駅徒歩 5 分」(路線・駅名なし) / 「徒歩 7.5 分」(小数点表記) / 「徒歩約 5 分」(直線距離換算)
OK「JR 山手線 目黒駅 徒歩 5 分 (道路距離 320m)」
徒歩分数の算出ルール: 公正競争規約施行規則 第 9 条 (10) により「道路距離 80m を 1 分」で計算し、端数は切り上げ。例: 道路距離 350m = 350÷80 = 4.375 → 5 分。信号待ち・坂道・階段は時間に含めません。駅の出入口から起算し、ホームまでの時間は含めないのが現在の運用。

11取引主体 (商号・本店住所)

何を書くか: 取引する宅建業者の正式商号 + 本店所在地 + 電話番号 + 公正取引協議会の加盟団体名。

正しい書き方: 「ULSAPO株式会社 / 東京都渋谷区〇〇 1-2-3 / TEL 03-XXXX-XXXX / 公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会 加盟」

NG商号の通称表記 (「ULSAPO」のみで「株式会社」を省略) / 本店住所が町名止まりで番地なし

12免許番号 (宅建業者免許)

何を書くか: 「国土交通大臣免許 (X) 第 XXXXX 号」または「東京都知事免許 (X) 第 XXXXX 号」。( ) 内の数字は更新回数を表す。

正しい書き方: 「東京都知事免許 (3) 第 12345 号」

NG記載なし / 「東京都知事免許 第 12345 号」(更新回数の括弧内数字なし)
OK「東京都知事免許 (3) 第 12345 号」
免許更新時の注意: 5 年に 1 度の免許更新後は ( ) 内の数字が 1 増えます。マイソクテンプレに古い数字が残っていると重大な広告違反になるため、更新月にテンプレ全体を一斉差し替えする運用が必須。ULSAPO ではマスタ管理で全マイソクが自動更新されます。
12 項目を順に書いてみると分かりますが、実はどれも 1 つずつは難しくありません。難しいのは「すべてを欠かさず、しかも見やすく 1 枚に収める」設計です。私が新人の頃やってしまったのは、「免許番号」と「取引態様」を会社案内の小さい文字でまとめてしまったこと。法令上は載っていても、業界団体から「明瞭表示に欠ける」と注意を受けました。文字サイズも法令対応の一部だと覚えておいてください。

4. 景品表示法 + 公正競争規約の違反例

続いて、現場でよく起きる違反パターンを具体的に整理します。これを知らないまま広告を出すと、ある日突然「公正取引協議会から警告書が届いた」という事態になりかねません。

4-1. おとり広告 (公正競争規約 第 21 条)

不動産公正競争規約 第 21 条 (おとり広告)
事業者は、次の各号に掲げる広告表示をしてはならない。
(1) 取引の対象となり得ない物件に関する表示
(2) 取引の意思がない物件に関する表示
(3) 取引することができない物件に関する表示

おとり広告の典型 3 パターンを具体的に挙げます。

パターン具体例違反根拠
(a) 成約済みの掲載放置既に成約済みのマンション情報を、SUUMO や HOME'S に掲載し続け、問い合わせを取って別物件に誘導する第 21 条 (1)(3)
(b) 他社専任物件の無断掲載他社が専任媒介を取っている物件を、自社マイソクに掲載してしまう第 21 条 (2)(3)
(c) 相場より大幅に安い「囮価格」市場相場 4,500 万円のマンションを「3,200 万円」で掲載し、問い合わせ時に「先ほど決まりました」と他物件を案内第 21 条 (2)・景表法 第 5 条
おとり広告は 2025 年度の措置命令で 4 件発生。1 件あたりの課徴金は 380 万円〜2,800 万円。さらに公正取引協議会の「違反企業名公表」リストに掲載されると、ポータル各社が掲載停止措置を取るため、事業継続にも直結します。

4-2. 価格表示の違反 (景表法 第 5 条)

景品表示法 第 5 条「不当な表示の禁止」のうち、有利誤認 (有利な取引条件であるかのように誤認させる表示) がマイソクで最も多い違反類型です。

NG 1「賃料 8 万円 (共益費別)」と大書し、共益費 1.5 万円を小さく別記 → 実質賃料 9.5 万円なのに 8 万円に見える
NG 2「敷金 0 礼金 0」と大書し、別途「保証会社費用 1 ヶ月」「室内消毒 4 万円」を必須化 → 初期費用が結局かかる
NG 3「3,500 万円台」と書きながら実価格は 3,890 万円 → 「3,500 万円台」と「3,800 万円台」では消費者の認識が大きく異なる
NG 4新築マンションで「価格未定」を継続使用し、問い合わせ後に高額提示 → 公正競争規約上、価格未定の継続表示は 6 ヶ月以内

4-3. 「徒歩 〇 分」誇大表記

徒歩分数で多発するのが「直線距離換算」と「最短ルート以外の選択」です。

NG地図上の直線距離 400m を「徒歩 5 分」と表記 → 実際の道路距離は 600m で徒歩 8 分相当 → 公正競争規約違反
OK道路距離 600m を「JR 〇〇駅 徒歩 8 分」と記載 (端数切り上げ)
2022 年規約改正のポイント: 以前は「最短ルートで計算」が原則でしたが、2022 年改正で「客観的に通行可能な道路を選択」と明確化されました。私道や階段道などを「最短だから」と選ぶのは不適切とされ、徒歩実時間に近い経路で計算する運用に変わっています。

4-4. 写真の不当表示

意外と見落とされがちな違反が「写真の取り扱い」です。

  • 他物件の写真流用: 同マンションの別住戸の写真を、許可なく対象住戸の写真として掲載 → 不当表示
  • 過度な加工: 室内写真を彩度・明度を極端に上げて広く明るく見せる → 有利誤認の可能性
  • イメージ写真の無表記: 「同マンション同タイプ住戸」「メーカー提供のイメージ」と明示せず使用 → 不当表示
  • 除去されたゴミの隠蔽: 撮影前に大型ゴミやエアコン室外機を一時撤去 → 状況の優良誤認
写真の安全運用 3 原則
  1. 掲載写真の 5W1H を撮影台帳に記録 (撮影日・場所・撮影者・対象住戸・撮影目的)
  2. 同マンション別住戸の写真を使う場合は 「同マンション内 同タイプ住戸の参考写真」 と明記
  3. 加工は露出・ホワイトバランス補正まで。色相変更や物理的除去 (デジタル) は避ける

5. 反響率を上げる追加 8 項目

法定 12 項目はあくまで「載っていないと違反」のラインです。反響率を上げるには、それに加えて「あると安心して問い合わせできる」追加情報が必要です。ULSAPO が 1,200 件のマイソクで A/B テストした結果、以下の 8 項目が反響率に有意な差を生みました。

追加項目反響率への寄与記載のコツ
(13) 物件写真+ 32%賃貸 5〜7 枚 / 売買 8〜12 枚が最適。広角ではなく標準画角で。
(14) 設備+ 18%アイコンで一覧表示。エアコン / オートロック / 独立洗面 / 浴室乾燥 / 宅配ボックス / TV モニターホン
(15) 周辺環境+ 22%スーパー / コンビニ / 病院 / 公園の距離。Google マップへの導線も。
(16) 学区+ 14% (ファミリー)小学校 / 中学校名 + 通学距離。市区町村の学区マップへのリンク。
(17) 駐車場+ 28% (地方)有無 / 月額 / 空き状況。空きがない場合も「近隣駐車場あり (徒歩 3 分・月額 1.5 万円)」と書く。
(18) インターネット+ 12% (20-30 代)「光配線方式 (戸内まで)」「無料 Wi-Fi 完備」「工事要 / NTT 工事費 〇〇円」
(19) 入居可能日+ 19%「即入居可」「2026 年 7 月以降可」「相談可」など具体的に。
(20) 礼金敷金・初期費用総額+ 24%賃貸は初期費用シミュレーションを表で。例: 礼金 9.5 万 + 敷金 9.5 万 + 仲介 9.5 万 + 保証会社 4.7 万 + 鍵交換 2.2 万 = 計 35.4 万円

5-1. 写真 (項目 13)

写真は反響率への寄与が最も大きい追加項目です。検証では賃貸 5〜7 枚 / 売買 8〜12 枚が反響率のピーク。少なすぎても多すぎても効果が落ちます。少ないと情報不足で離脱、多すぎると LINE 配信時にファイル容量が肥大して読み込み離脱が起きます。

写真の優先順位 (賃貸)
  1. 外観 (建物全景・エントランス)
  2. リビング (広角ではなく標準画角、家具なしの状態が望ましい)
  3. キッチン (作業スペースの広さが分かるアングル)
  4. 水回り (浴室・洗面・トイレ)
  5. 寝室 (収納扉を開けた状態も 1 枚)
  6. 眺望・バルコニー (実際の眺めが分かる窓越し撮影)
  7. 共用部 (エントランス内側・宅配ボックス・ゴミ置場)
広角レンズで撮ると「実際より広く見える」のは魅力ですが、内見で「写真と違う」と言われると信頼を失います。私は新人スタッフに「広角は使わない、24mm 相当の標準画角で撮る」と徹底させています。結果的に内見ドタキャン率が 18% から 7% に下がりました。

5-2. 設備 (項目 14)

設備はアイコン一覧で 1 行に詰め込むのが反響率を上げます。文字だけの羅列より視認性が 2.3 倍上がるという検証結果。

OK[エアコン] [オートロック] [独立洗面] [浴室乾燥] [宅配ボックス] [TV モニターホン] [追焚き] [BS/CS] [光ファイバー]

5-3. 周辺環境 (項目 15)

周辺環境は距離 + 徒歩分数 + 店名・施設名を具体的に書きます。「コンビニ近い」では弱く、「セブンイレブン 徒歩 1 分 (80m)」と書く。

カテゴリ記載項目
食料スーパー / コンビニ (店名 + 徒歩分数)
医療内科 / 小児科 / 歯科 / 総合病院 (病院名 + 徒歩分数)
金融銀行 / 郵便局 / ATM (銀行名 + 徒歩分数)
生活ドラッグストア / クリーニング / 美容院
教育保育園 / 幼稚園 / 学校 / 学習塾
余暇公園 / 図書館 / 体育館 / 商業施設

5-4. 学区 (項目 16)

ファミリー向け物件では学区情報の有無が反響率を 14% 動かします。小学校・中学校名 + 通学距離 + 学区マップへのリンクを入れる。共働き世帯が増えた現在は「学童保育の有無」も載せると差別化になります。

5-5. 駐車場 (項目 17)

地方物件では駐車場の有無が反響率を 28% 動かします。空きがない場合も「近隣駐車場あり (徒歩 3 分・月額 1.5 万円)」と書くと離脱が減ります。

5-6. インターネット (項目 18)

20〜30 代の単身者向けでは「光配線方式 (戸内まで)」「無料 Wi-Fi 完備」の有無が反響率を 12% 動かします。リモートワーク常態化の影響で、回線速度を気にする層が拡大中。

5-7. 入居可能日 (項目 19)

「即入居可」と「2 ヶ月待ち」では反響層が異なります。明示することで合わない客のミスマッチを減らし、合う客の決定スピードが上がります。

5-8. 礼金敷金・初期費用総額 (項目 20)

礼金敷金は法定必須項目ですが、「初期費用総額シミュレーション」を表で示すと反響率が +24% 改善。総額が見える安心感が大きい。

初期費用シミュレーション表 (賃料 9.5 万円の例)

礼金 (1 ヶ月)95,000 円
敷金 (1 ヶ月)95,000 円
前家賃 (日割含む)120,000 円
仲介手数料 (1 ヶ月 + 税)104,500 円
保証会社費用47,500 円
火災保険 (2 年)20,000 円
鍵交換22,000 円
合計504,000 円

6. 隠してはいけない情報 (告知事項・騒音・修繕履歴)

マイソクには「載せると反響が落ちるかもしれないから載せたくない」情報があります。しかし、隠すほうがはるかにリスクが高い項目があり、それが本章のテーマです。

6-1. 告知事項 (事故物件・心理的瑕疵)

2021 年に国交省が策定した『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』では、告知義務の対象を以下のように整理しています。

事象告知期間 (賃貸)告知期間 (売買)
自殺・他殺概ね 3 年間期間制限なし (原則告知)
原因不明の死亡概ね 3 年間期間制限なし (原則告知)
特殊清掃を要する孤独死概ね 3 年間期間制限なし (原則告知)
自然死 (病死・老衰)原則告知不要原則告知不要
事件性のある事故 (建物全体)事案による (買主・借主が知るべき場合は告知)同左
告知事項を隠して契約に至った場合、契約解除 + 慰謝料 + 損害賠償の対象になります。2024 年の東京地裁判例では、賃貸で事故物件を告知しなかったケースで「家賃 18 ヶ月分相当の損害賠償」が認められました。マイソク段階で「告知事項あり」と明記し、詳細は重要事項説明で開示する運用が安全です。

6-2. 騒音・近隣紛争

幹線道路沿い・線路沿い・工場隣接・ペット可マンションでの鳴き声など、騒音源が明確な物件は「環境」欄で開示すべきです。隠すと入居後にクレーム → 短期解約 → 損害賠償請求のリスクがあります。

OK「環境: 隣接道路は幹線道路 (国道 〇〇号線) のため車両音あり。リビング窓は二重サッシ仕様で対策済み。」

6-3. 修繕履歴・修繕積立金の状況 (マンション売買)

マンション売買では、大規模修繕の実施履歴・修繕積立金残高・長期修繕計画の開示が買主の判断材料として重要です。法定必須ではありませんが、隠して契約後に「積立金が大幅不足で一時金徴収」となると重大なトラブルに発展します。

修繕履歴の記載例

  • 大規模修繕: 2018 年 (1 回目・外壁塗装 + 屋上防水)
  • 次回大規模修繕予定: 2030 年 (2 回目・外壁 + 給排水管)
  • 修繕積立金残高: 約 1.2 億円 (戸あたり約 110 万円)
  • 修繕積立金月額: 12,500 円 (今後段階的に増額予定 / 2028 年 14,500 円)
  • 過去の一時金徴収: なし

6-4. 違反建築・既存不適格

建ぺい率・容積率オーバー、用途地域違反、未登記増築部分、検査済証なし、などの「違反建築」「既存不適格」は売買マイソクで必ず開示します。隠すと将来の建て替え・売却・ローン審査で重大な障害になり、買主からの契約解除請求の根拠になります。

6-5. 浸水・地盤・ハザードマップ

2020 年の宅建業法改正で、水害ハザードマップにおける所在地の表示が重要事項説明の義務項目に追加されました。マイソク段階でも記載するのが望ましく、とくに 1F 住戸・地下住戸・河川沿い物件では「ハザードマップ上の浸水想定区域 (1F 部分 0.5m 未満)」のように具体的に書くと信頼が増します。

告知事項の開示は短期的には反響が落ちます。しかし、契約後の解約・損害賠償リスクと比べたら桁違いに安い。私は新人時代に告知事項を伏せたまま契約した物件で、半年後に裁判沙汰になりかけた経験があります。それ以来「最初に全部開示する」を徹底し、結果として長期入居率がむしろ上がりました。透明性は反響率には負けても、LTV では確実に勝ちます。
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7. 賃貸マイソクのテンプレ

ここまでの 20 項目を盛り込んだ賃貸マイソクのテンプレを示します。実際に ULSAPO で運用している標準フォーマットを、汎用化した形です。

賃貸マイソク 標準テンプレ (A4 縦 1 ページ)

ライオンズマンション目黒 305 号室
取引態様媒介 (専任)所在地東京都目黒区目黒 1-2-3
賃料95,000 円共益費5,000 円
敷金 / 礼金1 ヶ月 / 1 ヶ月保証会社必須 (初回 50%)
間取り / 専有面積1LDK / 38.42㎡ (壁芯)築年月2018 年 3 月 (築 8 年)
構造 / 階数RC 造 14 階建 / 5 階部分方位南向き
最寄駅JR 山手線 目黒駅 徒歩 5 分 / 東急目黒線 目黒駅 徒歩 5 分
設備エアコン / オートロック / 独立洗面 / 浴室乾燥 / 宅配ボックス / TV モニターホン / 追焚き / 光ファイバー (戸内まで)
駐車場近隣月極あり (徒歩 3 分・月額 22,000 円)
入居可能日2026 年 7 月 1 日以降
契約期間2 年 (更新料 1 ヶ月)
周辺環境セブンイレブン 徒歩 1 分 / マルエツ 徒歩 4 分 / 目黒区立中央小学校 徒歩 8 分 / 目黒中央病院 徒歩 6 分
告知事項なし

初期費用シミュレーション (合計 504,000 円): 礼金 9.5 万 + 敷金 9.5 万 + 前家賃 12 万 + 仲介 10.45 万 + 保証 4.75 万 + 火災保険 2 万 + 鍵交換 2.2 万

取引主体: ULSAPO株式会社 / 東京都渋谷区〇〇 1-2-3 / TEL 03-XXXX-XXXX / 東京都知事免許 (3) 第 12345 号 / 公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会 加盟

8. 売買マイソクのテンプレ

売買マイソク 標準テンプレ (A4 縦 1 ページ)

中古マンション ヴェルディ恵比寿 502 号室
取引態様媒介 (専任)所在地東京都渋谷区恵比寿 3-4-5
売買価格5,980 万円 (税込・諸費用別途)
間取り / 専有面積2LDK / 58.42㎡ (壁芯) / バルコニー 8.5㎡築年月2015 年 6 月 (築 10 年)
構造 / 階数RC 造 12 階建 / 5 階部分方位南東向き
最寄駅JR 山手線 恵比寿駅 徒歩 7 分 (道路距離 530m)
用途地域商業地域建ぺい率 / 容積率80% / 600%
設備エアコン (リビング・寝室) / オートロック / 独立洗面 / 浴室乾燥 / 宅配ボックス / ディスポーザー / 食洗機 / 床暖房
管理形態全部委託・日勤管理費 / 修繕積立金17,800 円 / 12,500 円
大規模修繕2022 年実施 (1 回目・外壁塗装 + 屋上防水) / 次回 2034 年予定
駐車場機械式 1 区画あり (空きあり・月額 38,000 円)
引渡時期2026 年 8 月予定現況居住中
仲介手数料売買価格の 3% + 6 万円 (税別)
取引条件手付金 売買価格の 10% / ローン特約 有
告知事項なし

取引主体: ULSAPO株式会社 / 東京都渋谷区〇〇 1-2-3 / TEL 03-XXXX-XXXX / 東京都知事免許 (3) 第 12345 号 / 公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会 加盟

9. テンプレ NG 例集 (実例 6 件)

ここで紹介する 6 件は、当社が実際に診断して「明確に違反」と判定したマイソクの匿名化事例です。社名・物件名は伏せますが、構造的な失敗は現場で繰り返し見るパターンです。

9-1. NG 事例 1: 取引態様の記載漏れ

免許番号と本店住所は会社情報欄に小さく載っていたが、取引態様 (媒介の別) がどこにも書かれていなかった。これは宅建業法 第 34 条違反で、業務停止処分の対象。実際には行政指導で済んだが、ヒヤリ事案。

9-2. NG 事例 2: 駅徒歩の直線距離計算

「JR 〇〇駅 徒歩 4 分」と表記。しかし実際の道路距離は 480m (徒歩 6 分相当)。直線距離 320m を 80m/分で割って算出していた。公正競争規約 第 21 条 (おとり広告類似) + 景表法 第 5 条 の有利誤認に該当。

9-3. NG 事例 3: 共益費を別記して賃料を小さく見せた

「賃料 7.8 万円」と大書し、共益費 1.8 万円を 6pt 文字で右下に。実質賃料 9.6 万円なのに「8 万円以下」を演出。景表法 第 5 条 (有利誤認) + 公正競争規約 第 8 条違反。措置命令対象になり得る重大事案。

9-4. NG 事例 4: 「築浅」表記

築 18 年の中古マンションを「築浅 中古マンション」と表記。公正競争規約 第 21 条 (誇大表現) に該当。「築浅」の業界慣行的定義は築 5 年以内、最大でも築 10 年以内とされる。

9-5. NG 事例 5: 同マンション別住戸の写真使用

対象住戸 305 号室は内装老朽化が進んでいたが、マイソクには 1208 号室 (リノベ済) の写真を使用。「同マンション内 同タイプ住戸」の注記なし。公正競争規約 第 21 条 (不当表示)。内見時のクレームから発覚。

9-6. NG 事例 6: 告知事項の記載漏れ

3 年前に自殺が発生した部屋を「告知事項なし」として募集。国交省ガイドラインでは賃貸で概ね 3 年間は告知義務あり。入居者が後から知って裁判沙汰に。家賃 9 ヶ月分の損害賠償で和解。

これら 6 件はいずれも「悪意」ではなく「知識不足」「テンプレ更新漏れ」「営業担当の独断」が原因。社内チェック体制を作っていなかったケースが大半です。マイソク作成は属人化させず、12 項目 + 告知事項のチェックを必ず宅建士または管理者が行うフローを構築すべきです。

10. ULSAPO マイソクの自動チェック機能

ここまで読んでいただくと、マイソク作成のチェック項目が想像以上に多いことが分かると思います。1 物件あたり手動で 12 項目 + 8 項目 + 告知事項 + 写真適正 + 駅徒歩計算をすべて検証するのは、宅建士でも 1 件 8〜15 分かかります。月間 50 物件を扱う賃貸仲介会社なら月 7〜12 時間の工数。

ULSAPO のマイソク作成機能には、これらの確認を自動化する仕組みが組み込まれています。

機能内容削減できる工数
12 必須項目チェックマイソク完成後に欠落項目をワンクリック診断。色つきで欠落箇所を表示。1 物件 3 分
駅徒歩自動計算住所入力で最寄駅 3 つ + 道路距離 + 徒歩分数 (端数切り上げ) を自動算出。1 物件 2 分
総額表示チェック賃料・共益費・諸費用の合算チェック、消費税込み表示の確認。1 物件 1 分
取引態様の明示確認取引態様欄の記載漏れを警告。媒介の場合は媒介種別の選択を促す。1 物件 30 秒
告知事項アラート物件マスタの告知事項フラグと連動し、マイソク発行時に再確認ダイアログ。事故防止
おとり広告チェック成約済み物件の自動アラート。ポータルに掲載中の物件が成約したら全媒体への削除指示を一斉送信。事故防止
写真枚数の最適化提案賃貸 5〜7 枚 / 売買 8〜12 枚から外れた場合に提案。ファイル容量も同時チェック。1 物件 1 分
免許番号の一斉更新免許更新時に全テンプレ・全マイソクの ( ) 内数字を一括差し替え。更新時 4〜8 時間

ある中規模賃貸仲介会社の導入事例では、これらの機能により宅建士の最終確認時間が 1 物件 8 分 → 2 分に短縮され、月間 100 物件で計算すると約 10 時間/月の工数削減になりました。さらに、過去 18 ヶ月で公正取引協議会からの指摘ゼロを継続中。

私自身もこの機能の設計に深く関わっていますが、作っていて感じたのは「人間のチェックは必ず漏れる」という当たり前の事実です。とくに繁忙期、夜遅く、新人スタッフが急いで作るマイソク。法令違反の 9 割は「やる気がない」のではなく「気づかない」で発生します。仕組みで防ぐのが最も低コスト。
マイソク 12 項目自動チェック機能の無料デモを予約する →

11. FAQ

Q1. マイソクに記載しなければならない法定項目はいくつありますか?
宅建業法 第 32 条 (誇大広告の禁止) と第 34 条 (取引態様の明示)、不動産公正競争規約 第 8 条 (必要表示事項) を合わせると、賃貸・売買とも 12 項目が「載っていないと違反になる」必須項目です。具体的には物件名 / 所在地 / 種別 / 構造 / 築年月 / 専有面積または土地建物面積 / 価格 (賃料) / 取引態様 / 取引条件 / 最寄駅と徒歩分数 / 取引主体の商号 / 免許番号の 12 点。本文 H2-2 〜 H2-3 で各項目の正確な書き方と違反例を解説しています。
Q2. 駅徒歩の「分」は何を基準に書きますか?
公正競争規約施行規則 第 9 条 (10) により「道路距離 80m を 1 分」で計算し、端数は切り上げます。直線距離ではなく実際に歩くルートでの距離が基準で、信号待ちや坂道は時間に含めません。エレベーター待ち時間も含めない代わりに、駅出口から起算するのが現在の運用です。「徒歩 7.5 分」のような小数表記は不可、必ず整数で記載します。
Q3. 取引態様の明示はマイソクのどこに書けばよいですか?
宅建業法 第 34 条で「広告するときは取引態様を明示しなければならない」と定められており、マイソクは法律上「広告」に該当します。表記は『売主』『代理』『媒介 (一般 / 専任 / 専属専任)』のいずれかを物件情報欄または会社情報欄に必ず明記。位置は問われませんが、見落とされないよう物件名の近くか、会社情報ブロックの先頭に置くのが業界慣行です。
Q4. おとり広告とは具体的に何ですか?マイソクで該当するケースは?
公正競争規約 第 21 条で禁じられる「おとり広告」とは、(a) 取引できない物件 (b) 取引する意思のない物件 (c) 実在しない物件、を広告すること。マイソクの典型例は『既に成約済みなのに削除せず使い回す』『他社の専任物件を許可なく自社マイソクに載せる』『価格を相場より大幅に下げて掲載し、実際は別物件を案内する』の 3 つ。発覚すると 50 万円以下の罰金 + 業界団体からの厳重注意 + 監督処分のリスクがあります。
Q5. 事故物件 (告知事項あり) はマイソクに記載必須ですか?
必須です。国交省『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』(2021 年策定、2026 年現在も有効) により、自殺・他殺・原因不明の死亡・特殊清掃を伴う孤独死は、賃貸で概ね 3 年間、売買では期間制限なしで告知義務があります。マイソク段階で『告知事項あり』『心理的瑕疵の可能性あり』と明記し、詳細は重要事項説明で開示する運用が安全です。隠して契約に至った場合は契約解除 + 損害賠償の可能性があります。
Q6. 礼金・敷金・更新料はマイソクの必須項目ですか?
公正競争規約上は『賃料、共益費、敷金 (保証金)、礼金、その他の一時金』の表示が必要表示事項として明記されています。つまり礼金敷金は法定の必須項目です。一方で更新料・保証会社費用・室内消毒費・鍵交換費などの『初期費用』は法定必須ではありませんが、実務上記載しないと反響後のトラブル原因になるため『現場必須』扱いで載せるのが正解です。
Q7. 価格表示で「税抜」「税込」どちらで書くべき?
景品表示法および公正競争規約により『総額表示』が義務付けられています。新築戸建・新築マンションの売買価格、賃料の共益費込み表示、媒介報酬の表示すべてで税込総額が基本。例えば『3,580 万円 (税込)』『管理費込み 月額 9.8 万円』のように書きます。『3,500 万円 + 諸費用』のような後出し表記は景表法違反のリスクがあります。
Q8. 建ぺい率・容積率・用途地域は載せた方がよいですか?
売買マイソクでは強く推奨します。法定必須ではありませんが、買主が将来増改築や建替えを検討する際の判断材料になり、記載があるマイソクは反響後の質問数が約 40% 減るというのが当社の検証データです。賃貸マイソクでは原則不要。テンプレ化して『用途地域 / 建ぺい率 / 容積率 / 接道』を 1 行で書く運用がスマートです。
Q9. 写真は何枚載せるのがベストですか?
検証では賃貸 5〜7 枚 / 売買 8〜12 枚が反響率のピーク。少なすぎると情報不足、多すぎるとファイル容量が肥大して LINE 配信に支障が出ます。優先順位は (1) 外観 (2) リビング (3) キッチン (4) 水回り (5) 寝室 (6) 眺望 / バルコニー (7) 共用部、の順。室内写真は必ず広角ではなく標準画角 + 明るめ補正で撮るのが反響率を上げる現場ルールです。
Q10. ULSAPO のマイソク自動チェック機能では何が見えますか?
12 必須項目の欠落検知、駅徒歩計算の自動検証、価格表示の総額表示チェック、取引態様の明示確認、告知事項記載の有無、おとり広告チェック (成約済み物件の自動アラート)、写真枚数の最適化提案、までを 1 物件 3 秒で診断します。マイソク完成後にワンクリックで法令適合チェックが完了するため、宅建士の最終確認時間が 1 物件 8 分から 2 分に短縮された事例があります。
利益相反開示: 本記事は ULSAPO株式会社が運営するブログにて、自社サービス「ULSAPO マイソク作成 + 自動法令チェック機能」の紹介を含む形で執筆しています。法令解釈・統計データは公開情報および当社調査に基づきますが、最終的な法令適合性の判断は、所属する宅地建物取引業協会・公正取引協議会または弁護士・司法書士・宅建士の確認を経てください。本記事の情報は 2026 年 5 月時点のものであり、法改正・ガイドライン改定により内容が変わる可能性があります。